ブルーグラスの楽器
ブルーグラスは基本的に弦楽器のみで演奏され、ドラムなどの打楽器が(通常は)使われないことも大きな特徴と言えるでしょう。
■ ギター ( Guitar )
ブルーグラスで使うのは普通のフォークギターですが、低音部が強調される「ドレッドノート型」というボディーの大きなものが一般的です。多くのプレイヤーに使用されていて定番物として有名なのは、Martin社製のD-28というモデル。
ベースとともにリズムを支えるのが主な役目(もちろんソロを弾くこともあります)。また、ギター弾きがリード・ボーカルをとることが多いです。
(写真は Martin D-18 )

■ バンジョー ( Banjo )
丸い胴体が特徴の5弦の楽器。内部に鉄の輪が入っているためとても重いが、そのためかとても大きな硬い音が出せるようになっている。
ブルーグラスではアール・スクラッグス(Earl Scrugs)がまとめた親指、人差し指、中指の3本で弦を弾く「スリーフィンガー奏法」が主流。また、オールドタイムなどでは後ろ側に蓋がないオープンバックのものを「クロウハンマー」と呼ばれる奏法で演奏する。
バッキングでもソロでも一番目立つ、ブルーグラスの花形楽器である。

■ マンドリン ( Mandolin )
ボディーの裏側が丸い「ラウンドバック・マンドリン」と区別して「フラット・マンドリン」とも呼ばれる。同音弦が2セットづつ、計8本の弦が張られている。ギターと同様、ピックを使って弾く。
ブルーグラス創始者であるビル・モンローが弾いていた楽器。リズムにソロに(たまには歌も)忙しいポジションかも。 なぜか静岡県内ではマンドリン弾きが多い気がする。

■ フィドル ( Fiddle )
クラシックなどで使われるバイオリンと同じもの。ブルーグラスでは唯一、弓を使う楽器である。各地の民間音楽ではこの呼び方を使うことが多い。
私自身今まで、まずはじめにバイオリン存在し、それがが民間に広まったものがフィドルと呼ばれたのだと思っていたが実際は逆のようである。各地で独自に発達していた「バイオリン的」な楽器が、16世紀イタリアでその機能上の特性を 合理的に整理されてできあがったものがバイオリンとして上流階級に広まったということであるらしい。そして今度は逆に楽器としての機能で勝るバイオリンが、民間で使われるようになったのである。
またマンドリンとは逆に静岡県内ではフィドル弾きはなぜか圧倒的に少ない(と思う)。

■ ベース ( Bass )
これはいわゆるコントラバス。オーケストラやジャズで使用するものと基本的には同じです。ほかの楽器に比べて段違いに大きく、170~180cmはあろうか。なので持ち運びには非常に苦労する。
ブルーグラスではジャズなどと同じように指で弦をはじいて演奏する(=ピチカート奏法)。リズムの要として、ギターとともにバックを支える重要なパートである。
また場合によっては、弦をはじき指板に当て、さらにはじいた手で指板をたたく「スラップ」という荒技を使うときもある。

こちらは普通のエレキベース。これは「ジャズ・ベース」と呼ばれるタイプです。「プレシジョン・ベース」というのもあって、違いはボディの形状、ピックアップの位置や数、ネックの幅(ジャズベのほうが細い)、だそうです。
ブルーグラスでは伝統的にウッドベースがよく使用されるが、エレキベースを編成に組み込んだバンドもけっこうある。そういうバンドはどちらかというとプログレッシブな演奏をすることが多い気がする。

■ ドブロ ( Dobro )
「ドブロ」とは商品名(ブランド名)で正式名称は「リゾフォニック・スライド・ギター」という(ただ、前者の呼び名のほうがよく使われると思うのでここでは「ドブロ」としておきます)。ボディー中央に金属部分でできた共鳴盤を持ち、これが独特な音色を生み出す要となっている。
ブルースなどでもよく使用されるが、ブルーグラス用のものはネックが四角(「スクウェア・ネック」)になっていたり、弦高も高くセッティングされる。また楽器の構え方も通常のギターと異なり、本体を地面と平行(トップが上を向く)にして演奏する。また、バンジョーのようにオープンチューニングになっていて、サムピックやフィンガーピックを用いて演奏する(Tut Taylorはフラットピックを使うらしい)。

ブルーグラスの楽器を紹介してきましたが、これらの楽器はアメリカ音楽の源流から現在まで、進化・発展・試行錯誤を繰り返しそれらを用いて奏でられる音楽とともに成長してきたわけです。楽器の側面からアメリカ音楽の変遷をたどったすばらしい書籍がありますので、興味のあるかたはご一読をおすすめします。まさに私(我々?)が求めていた一冊です。
