アイリッシュの楽器
アイルランド伝統音楽には弦楽器、管楽器、太鼓、蛇腹、食器など、あらゆる楽器が登場します。
我々のバンドで使用されているものを中心に紹介します。
■ フィドル ( Fiddle )
ブルーグラスでもそうであるように、いわゆるバイオリンをフィドルと呼ぶ(これは多くの民俗音楽などで見られる)。基本的には同じ楽器である。
聞いた話では、フィドラーはボディに積もった松脂のカスをふき取らないとか。むしろ厚く積もったそれが彼の誇りであるとか、ないとか。
民衆の音楽の傍らにはいつもフィドルがあった、らしい。

■ ギター ( Guitar )
いわゆるフォークギターで、アイリッシュではどういうタイプのギターが主流なのか、よくわかりません。マーチン系のドレッドノートを使っている人も、胴がやや浅い(マーチンでいう)O型のものを使っている人もいます。
また、通常のチューニングではなく、DADGADと呼ばれる変則チューニングなどもよく使われるようです。こちらのほうがアイリッシュらしい響きが出るとか、でないとか。
しかし、アイリッシュ・ギターの肝はリズムです。

■ バンジョー ( Banjo )
ブルーグラスでは5弦バンジョーがメインですが、アイリッシュではどうやら4弦のものが多いようです。
かたちはほぼ同じですが(もちろん5弦のペグとかはありません)、やや竿が短いようです。チューニングもオープンGとかではなくて、マンドリンなんかに近い?

■ マンドリン ( Mandolin )
おそらくアイリッシュでもいわゆるフラット・マンドリンが主に使われているかと思われます。ブルーグラスでは圧倒的にFタイプ(うずまきがついている型)が多いですが、Aタイプ(丸い、涙型)もよく登場します。
両者で音色に微妙な違いがあるようです。Fタイプのほうが硬め、Aタイプはやさしい感じか? どちらでも、プレイヤーの好みで良いと思います。

ここまではブルーグラスでもおなじみの楽器でした。
■ アコーディオン ( Accordion )
おなじみの鍵盤アコーディオンや、鍵盤のかわりにボタンがついているアコーディオンもある。後者は押し引きで音がちがったりするようである。腕で蛇腹を伸縮させて風を送り込み、金属のリードを震わせて音を出しているようである。左手側のボタンで伴奏などもできて、なんだか便利な楽器です。

■ コンサーティーナ ( Concertina )
アコーディオンの仲間で、六角形の箱の左右にボタンがいくつもついている楽器である。押し引きで音が違ったり、同じだったり、配列が音階どおりになっていないなど、非常にややこしい楽器だそう。
押し引きでちがう音がでることは一見デメリットと思われるが、ダンス・チューンでは蛇腹の動きがアクセントとなり、それが独特のリズム感を生み出すとも。

■ イリアン・パイプ ( Uilleann pipes )
アイリッシュの花形である。バグパイプのように、袋から空気を送り出してリード(ダブル・リード)を鳴らす楽器である。口で空気を送るのではなく、ひじで動かしたフイゴから空気を送るのが大きな特徴であろう。このためパイパーは飲みながら、歌いながら、演奏ができるのである(?)。
一説によると、かつて国を統治していたえらい人が「口で吹く楽器などけしからん」とおふれを出したそうな(理由は忘れた)、そして人々は「口がだめならヒジでやるもんね」とこの風変わりな楽器をこしらえたそうな。
ブルーグラスのバンジョーにも同様のことが言えるが、さすがエース級の楽器ということで他の楽器がこの楽器のマネをするようである。たとえば、フルートやホイッスルはパイプの出っ放しの音をまねてか(義務教育のリコーダーで習ったような)タンギングを使わない。
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■ バウロン ( Bodhran )
ボーランと呼ぶことも。タンバリンのように片面にのみ皮が張られている太鼓です。バチをつかって音を鳴らします。皮はきつく張るより、むしろややゆるめて使うようで、場合によっては(湿らせた布で拭いたりして)多少水分を含ませるそうです。

■ スプーンズ ( Spoons )
食事用のスプーンを2本、カーブを向かい合わせ片手に持てば、ちょっとしたリズム楽器に。
■ ティン・ホイッスル ( Tin Whistle )
ブリキでできた小笛。リコーダーに似ているが、穴が6つ。「ペニーホイッスル」と呼ばれることもあるように値段はかなり安いのでみなさんもおひとついかが? アイリッシュの楽器では比較的入手しやすいが、普通の楽器屋に常時置いていることはまれ(取寄せてもらったことはある)。しかし三島のやまがた楽器店にはありました。
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■ アイリッシュ・フルート ( Irish Flute )
ハスキーな音色がとても素敵な木製の横笛。基本的にはホイッスルと同じく穴が6つ、という構造で音程は1オクターブ低い。これに半音階を出すためのキー(金属のしかけ)を取り付けたものもある。
アフリカン・ブラックウッド、エボニー、など硬い(重い)木材で作られたものが主流だが、材料はさまざまであり、それぞれ音色が微妙に変わってくるようである。また、硬質プラスチック、ポリマーなどで作られたものもあり音色はやや人工的な感じになるが、湿度・気温の急変による破損の危険性を避けることができるため、あえてこちらを選ぶメリットも十分あるように思う。

(…つづく)